共和国軍戦闘機械獣 RZ-041
ライガーゼロ
 

全長:24m  全高:8.3m  重量:85t
最高速度:307km/h  乗員人数:1名

 ZAC(ゾイド暦)2056年。巨大彗星がゾイド星の3つの衛星のひとつを直撃し、破片が地表に降り注いだ。世に言う大異変、グランドカタストロフである。中央大陸は3つに引き裂かれ、暗黒大陸は一部が水没しニクス大陸とテュルク大陸に分断された。当時、ヘリック共和国とガイロス帝国の間で行なわれていた第1次大陸間戦争は、両軍の戦闘不能により事実上の終結を迎える。
 無数の金属生命体が絶滅したこの年以降、ゾイド星に生息するほとんどの野生ゾイドは星人の管理下に置かれ、保護政策がとられてきた。

 保護政策の結果、野生体の個体数は戦闘ゾイドへの改造が可能なほどに回復した。西方大陸戦争開戦時には、両軍合わせ10万機以上の戦闘ゾイドを保有することになる。しかし、野生ゾイドは星人の保護下に置かれていたため、元来持ち合わせていた生命力は大きく低下していたのだ。これは戦闘ゾイドへと改造した後の戦力にも大きな影響をもたらした。量産性と操作性を重視し、それと引き換えにゾイドの生命力と闘争本能を犠牲にしてきた帝国軍戦闘ゾイドには、とりわけこの傾向が強かった。
 ZAC2100年秋、帝国軍技術陣はこの問題を解決すべく、野生の本能を色濃く残した戦闘ゾイドの開発に着手する。ベースに選ばれたのは、大異変を完全な野生状態で生き延びたライオン型とティラノ型の2体である。それぞれ、蓄積されたセイバータイガーやジェノザウラーの戦闘データを元に戦闘ゾイドへの改造が行なわれた。さらに、完成間近だったEZ-038エレファンダーで採用されていた武装換装システムを発展させ、装甲ごと機体の仕様を変更するCAS(チェンジングアーマー)システムとして導入された。

 完成した2体の実験機はBF01、BF02のコードネームを与えられ、ガイロス帝国の西方大陸最大の拠点ニクシー基地でテストが行なわれていた。しかし同年10月には、第二次全面開戦以降優位に立った共和国勢力を押さえ込むことが出来なくなった帝国軍戦線は崩壊。帝国軍司令部は西方大陸戦最後の砦となりつつあるニクシー基地を放棄し、本土ニクスへと撤退することを決定する。共和国最大規模の戦闘部隊「デストロイヤー兵団」の長距離砲が基地を射程に収める頃、2体の実験機は多く将兵と共に西方大陸を脱出するはずだった。
 しかし、共和国軍高速戦闘隊は彼らの予想を上回り、恐るべき速さで基地内に進入する。この部隊の隊長はレイ・グレック陸軍中尉。彼は共和国軍屈指の高速戦スペシャリストであり”レオマスター”の称号を持つパイロットであった。彼は実験機を見つけるとすぐさま破壊に移ろうとした。
 このとき居合わせたヴォルフ・プロイツェン大佐によりBF02は起動、驚異的な能力で彼のグレック中尉のシールドライガーDCS-Jを退ける。グレック中尉は乗機を失うと、大胆にもBF01を奪取・起動させ応戦してきたのだ。プロイツェン大佐は辛くも脱出に成功するが、BF01は共和国軍にほとんど無傷で鹵獲されてしまったのだ。
 余談ではあるが、このBF02は後にEZ-049バーサークフューラーとして完成。プロイツェン大佐が指揮する鉄竜騎兵団の旗艦ゾイドとして彼らの前に姿を現すことになる。

 ZAC2101年1月、西方大陸戦争の終結を機に共和国政府は休戦協定の席を設けるも、帝国首脳陣はそれを一蹴。国民感情が2度目の暗黒大陸戦争へと傾いていく中、共和国政府は軍備を拡張しガイロス帝国本土への侵攻を決意する。
 前大戦でも上陸としているとは言え、暗黒大陸は依然として未知の部分が多い。未知の敵地で戦いを優位に進めるべく、先行する遊撃部隊が組織されることとなった。「閃光師団(レイフォース)」と呼ばれるこの部隊は、師団の高速戦闘隊や”青の軍”こと416部隊などの部隊を再編成する形で誕生した。部隊にはコマンドウルフAC、シャドーフォックスなどの配備が決定する中、鹵獲機であるBF01を主力機に推薦した男がいた。武器開発局のボビー・マックスウェル中佐である。彼は、グレック中尉が鹵獲した機体を分解し徹底的に解析。西方大陸に野生体が生息していることから生産が可能で、生命力が強く暗黒大陸でも力を発揮できると説明した。
 この案は、帝国軍が本土で体制を立て直す前に侵攻したいと考えていた軍上層部に強く支持され、FB01は正式に採用されることになった。RZ-041ライガーゼロの誕生である。鹵獲した機体内にあったデータより製造された基本形態、タイプ0の他に共和国独自のCASユニットも平行して開発が行なわれた。格闘戦を重視したタイプ1「シュナイダー」、機動力を重視したタイプ2「イェーガー」、そして火力を重視したタイプ3「パンツァー」の各形態である。特別な指令が無い限り、形態はパイロットの判断に任されており、グレック中尉はなかでもタイプ0を好んで使用していた。

 こうして量産が開始されたライガーゼロ。その初陣は暗黒大陸ではなく西方大陸、占領下のニクシーであった。ガイロス帝国軍特殊部隊のデススティンガーKFD(キラー・フロム・ザ・ダーク)部隊が基地を急襲した際に、上陸作戦に備え常駐していた「閃光師団」に出撃の命令が下ったのだ。
ライガーゼロはその性能を如何なく発揮、弱点も解明されていたこともあり10機全てのKFDを撃退することに成功。この戦いでグレック中尉は単独でKFD1機を撃破している。

 ZAC2101年6月。数々の妨害工作に耐え、アンダー海海戦を経て暗黒大陸ニクス、エントランス湾に上陸した共和国軍。先陣を切る「閃光師団」には正規ゾイドとして導入されたライガーゼロの姿があった。
 その数奇な運命を経て、暗黒大陸の戦闘において生みの親であるガイロス帝国軍を苦しめていくことになるのである。


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2010.12.09

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